8月28日、AWC夏季反戦合宿を開催しました。今年はコロナ禍で大人数で集まるのが難しいため、東京と関西、九州・山口の会場をオンラインで結んで行いました。
 合宿のメインは纐纈厚(こうけつあつし)さんの講演でした。纐纈さんは明治大学客員研究員で、軍事戦略論のスペシャリスト。AWCの各種集会で何度も講演していただいている方です。
 今回のテーマは「米中対立と東アジア情勢の展開」。米国等がいう「中国包囲論」「台湾有事」とは何なのか、また昨今の日米軍事戦略について具体的にお話しいただきました。
 今年6月のサミット(先進国首脳会議)で米国メディアは「対中包囲網が形成された」と宣伝したが、その認識は実は誤りである、と纐纈さんは指摘。「台湾有事」を口実に日米の共同統合戦力を拡充するために過剰な危機感を流布するものだ、と喝破しました。中国海軍増強の背景については、日米との対立目的というより、農産物・石油等大量の資源輸入のために海上輸送路の確保が中国にとって死活問題であるためと分析しました。
 米国の軍事戦略については、「国家防衛戦略」が長期化した中東の戦争ではなく、中国やロシアとの戦略戦争にシフトしていること、その「防衛戦略」のためにアジア太平洋地域での軍備増強が進んでいる、と説明しました。また米国の「核態勢見直し」についても解説。広島原爆より低出力の核弾頭実戦配備が昨年2月から進んでいることを説明しました。
 そして、「米国が『台湾有事』に介入すれば、自衛隊が米軍を後方支援することになるため、安保法制の適用により、自衛隊が出動し米軍とともに戦う可能性もある」と日米による軍事戦争の危険について警鐘を鳴らし、「軍事同盟の相対化から解体を求める運動がAWC等反戦運動の重要な課題である」と結びました。